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長時間労働、責任、部下…
仕事の経験を重ねた女性たちの中に、「管理職に魅力を感じない」と思う人は少なくない。働く女性の4割が「管理職になりたくない」と回答した調査結果もある。女性を積極的に登用しようという機運が高まる中、先輩の女性管理職は「自信を持って、一歩を踏み出してほしい」とエールを送る。(小坂佳子)
外資系金融機関で顧客窓口の業務を担当している東京都内の女性(44)は、これまで管理職の打診を何度も断ってきた。「今以上に会社に縛られて、時間の自由がいっそうなくなるのはたまらない。そのポストは何人もの女性が就任しては途中で退職していたのも気になった」と、その理由を説明する。
NPO法人GEWEL(ジュエル)が2006年、働く女性約2500人を対象に実施した調査では、すでに管理職だった人や管理職になりたいという人が計22%だったの対し、管理職になりたくないという人は41%、どちらとも言えないという人が34%だった。なりたくない理由は「今まで以上に長時間働きたくない」(51%)、「責任を負いたくない」(30%)、「部下を持ちたくない」(20%)、「見合った収入が得られないと思う」(18%)など。
厳しい労働環境が影響していることが分かる。とはいえ、女性自身の意識にも課題はありそうだ。
医療機器メーカー「GE横河メディカルシステム」で働く藤谷京子さん(42)も、管理職への打診に迷った一人だ。派遣社員を経て正社員となった藤谷さんは、「男性ばかりの職場で男性の部下を持っても、うまくやっていく自信がありませんでした」と振り返る。
迷いを打ち消してくれたのは、信頼していた男性上司の言葉だった。「深く考えない方がいい。だめなら部下をもたない働き方だってある。君ならできるよ」。藤谷さんは「自分は、育児でも仕事でも、すべてをきちんとやらなければ気が済まない面があった。でも、だめでもいいんだ。どこまで自分ができるか挑戦してみよう」と考えるようになった。現在は輸入調達などの部署で管理職として活躍する。
日本では企業の女性管理職の割合が6・9%(06年度)で国際的にも低い水準のため、政府は2020年までにあらゆる分野で30%に高めることを目標に掲げる。
日本GE(ゼネラル・エレクトリック)社取締役の山下美砂さんは、「そもそも人生の選択肢に管理職が入っていない女性も多い」としたうえで、「管理職は会社の意思決定にかかわれる醍醐(だいご)味があります」と話す。女性ネットワークやキャリアカウンセリングなど社内外での様々な機会に自身のキャリアについて考えたい。また、管理職になると「いかに部下をやる気にさせるか」など、それまでと違う能力も求められるため、不安を感じる人も多い。「必要な能力は後からでも学ぶことができる。自信を持って、一歩を踏み出して」と山下さんは話している。
前向きに挑戦して
キャリアについて前向きに考えるコツ(NPO法人GEWEL代表理事、堀井紀壬子さんの話をもとに作成)
「セルフエスティーム(自尊感情)」を大切にする。自分を肯定的に認識することで、自分に責任を持ち、自分の手で自分の人生を作っていくようになれる。具体的には??。
<1>自分のプラス面を見直す=「私なんて……」という意識を変えるため、自分が成功した体験を書き出してみる。欠点と思うことも、視点を変えてプラスにとらえてみる。
<2>将来の夢を描く=自分が大切に思っていることは何か、将来は何をしたいのか、そのために何をすればいいのかを考える。なりたい自分を絵図などにまとめて、毎日見えるところに張って、思いを強固にする。
(2008年9月12日 読売新聞)
■ 管理職になりたがらない男性も増えた。女性はかつて「母性保護」の名目で制限的な労働条件下にあった。これが女性の意識を形成した面がある。
加えて優秀な女性がいたにもかかわらず「女性というだけでチャンスを与えなかった」会社側の人事政策が女性の管理職を実現させなかった。
出産という役割を担う女性の支援が社会的課題となっている。環境は改善の方向にある。女性の奮起を期待する。会社も積極的な女性登用を図るべきだ。
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